UnteeContact
Column

インフルエンサーマーケティングのKPIは「累計」で決める|目的別の決め方と測り方

戸田 健介公開日
インフルエンサーマーケティングのKPIは「累計」で決める|目的別の決め方と測り方

この記事の結論インフルエンサーマーケティングのKPIは、目的(認知・比較検討・購入)から決めます。認知が目的なら、1本の再生数ではなく「累計の再生数」と「配信本数」をKPIにします。ショート動画のPRは1本ごとの当たり外れが大きく、成果は「また流れてきた」の積み重ねで決まるからです。

INDEX目次
  1. インフルエンサーマーケティングのKPIは、目的から逆算して決める
  2. 1本の再生数をKPIにすると判断を誤りやすい3つの理由
  3. 成果につながるのは「また流れてきた」の積み重ね(フリークエンシー)
  4. 認知のKPIは「累計の再生数」と「配信本数」に置く
  5. インフルエンサー施策を評価する5つのチェック
  6. よくある質問
  7. まとめ|KPIは「計画できて、ぶれにくい数字」に置く

「1本あたり、何回くらい再生されますか?」 「フォロワー〇万人以上の方にお願いしたいです」 「その方に依頼したら、何件くらい売れますか?」

インフルエンサー施策のご相談で、最初によく聞かれる質問です。予算を預かる立場なら、当然の問いだと思います。

ただ、この問いのままKPIを決めると、施策の良し悪しを正しく判断できなくなることがあります。

1本の再生数は、施策の成果を測る物差しとして適切なのでしょうか。

私たち株式会社Unteeは、30社ほどの企業のマーケティングをご支援し、その中でインフルエンサー施策も、選定・依頼・条件の調整・クリエイティブの管理まで企業に代わって進めてきました。

同時に、複数のママ向けInstagramアカウント(フォロワー数は合計で延べ150万・2026年9月時点)を5年運用し、PRを配信する側にも立っています。依頼する側と発信する側の両方の現場から、KPIの決め方を整理します。

この記事で分かること

  • 目的別に見る、インフルエンサーマーケティングのKPIの決め方
  • 認知のKPIを「1本の再生数」にすると判断を誤りやすい3つの理由
  • 「累計の再生数」と「配信本数」をKPIにする方法と、Instagramでの測り方

インフルエンサーマーケティングのKPIは、目的から逆算して決める

KPIは、最終的な目標(KGI)から逆算して決めるのが基本です。インフルエンサー施策の目的は、大きく3つに分けられます。

目的 目標(KGI)の例 見るべきKPI
認知 第一想起・指名検索が増える 累計の再生数・配信本数・狙った層に届いているか
比較検討 比較の候補に入る 保存数・プロフィールへのアクセス
購入 売上 クリック・購入や申し込みの数・獲得単価

まだ知られていないブランドが最初に取り組むのは、多くの場合「認知」です。購入のKPIは、認知が積み上がってから効いてきます。

ところが実際には、認知の段階で「1本あたりの再生数」や「1本あたりの購入数」をKPIにしてしまう会社が少なくありません。ここから先は、認知のKPIの置き方に絞って書きます。

認知の施策は、1本ごとの購入数で採点しません。

1本の再生数をKPIにすると判断を誤りやすい3つの理由

理由1:ショート動画のPRは、そもそも1本では勝ちにくい

インフルエンサーPRの多くは、リールなどのショート動画です。ショート動画を見ている人は、流れてくる投稿を指でスワイプしているだけで、ほとんど考えていません。この受け身の状態で売り込みの気配を感じると、反射的に次の投稿へ移ります。

しかも、おすすめ欄に並ぶのは、その人の好みに合わせてアルゴリズムが選んだ投稿です。面白い投稿や好きなクリエイターの投稿と、「商品を伝える」役割を背負ったPR投稿が同じ土俵で比べられます。たとえるなら、地方予選を勝ち抜いた選手ばかりの全国大会に、ハンデを背負って出場するようなものです。

そもそも、1本の投稿がその人のおすすめ欄に入り込めるかどうか自体が、確率の話です。

理由2:1本の再生数は、同じチームが作っても数倍ぶれる

同じ商品を同じチームが作っても、投稿ごとの再生数が数倍違うことは珍しくありません。実際、私たちが同じ商品で配信したPRリール8本では、最も伸びた投稿と最も伸びなかった投稿の再生数に約5倍の差がありました。どれが伸びるかは、運用している私たちでも事前には読み切れません。

当社の経営顧問で、Real us社創業者の小林さんも同じ見方です。インフルエンサーの育成に携わってきた小林さんは、当社のYouTube動画でPRを「ある意味ガチャ」と表現していました。

1本の再生数をKPIにすることは、くじの当たり外れで施策を採点するのに近いと考えています。

理由3:無名のブランドほど「1本勝負」で消耗する

すでに広く知られたブランドなら、インフルエンサーにとってPRを任されること自体が実績になります。一方、まだ知られていないブランドの依頼には、インフルエンサーの側にためらいが生まれます。

  • 本当に信頼して紹介できる商品か
  • 紹介して、フォロワーの信頼を損なわないか
  • PR投稿だと、いつもより再生が伸びないのではないか

その結果、1本あたりの費用が上がり、費用対効果を厳しく見るようになります。1本に期待を寄せるほど細かな修正が増え、インフルエンサーらしさの消えた投稿になり、「インフルエンサー施策はうちには合わない」と撤退してしまう。私たちは、この流れを何度も見てきました。

見るべきは1本の山の高さではなく、届いた回数の合計です。

成果につながるのは「また流れてきた」の積み重ね(フリークエンシー)

フリークエンシーとは、同じ人に何回届いたか(1人あたりの平均接触回数)のことです。私たちのご支援では、1本の再生数の高さより、フリークエンシーの高さのほうが成果に結びついていると見ています。

見る側では、次のようなことが起きています。

  1. 最初に流れてきたときは、ほとんど気に留めない
  2. 別の日に、同じ商品の別の投稿が流れてきて「また見た」と感じる
  3. 何度か目にするうちに「最近よく見るな」と思う
  4. その商品が必要になったとき、真っ先に思い出す
「また流れてきた」が、思い出される理由になる
「また流れてきた」が、思い出される理由になる

この過程の多くは無意識です。1本ずつじっくり見てもらえなくても、スワイプの途中で何度か目に入ることで、商品名と使う場面が記憶に残っていきます。

心理学でいう単純接触効果(繰り返し接すると好意が高まりやすい)や、利用可能性ヒューリスティック(思い出しやすいものほど「よくある」と感じやすい)に近い動きです。

これは、PRと明示した投稿のままで起こります。広告であることを隠す必要はありません。テレビCMが1本の視聴率ではなく、延べ視聴率(GRP)で計画されてきたのと同じ考え方です。

伸びなかった1本から購入が生まれた例

私たちは以前、Instagramでアフィリエイトにも取り組んでいました。たとえば、ある健康ドリンクの定期購入商品では、私たちのリールは伸びた投稿とは言えない再生数でした。それでも、その投稿をきっかけに購入が生まれていました。

その商品は、ほかの多くのアカウントでも紹介されていました。何度も目にしていた人にとって、私たちの1本が最後のひと押しになったのだと考えています。

認知のKPIは「累計の再生数」と「配信本数」に置く

ここまでを踏まえると、認知の施策で見る数字は次のように整理できます。

数字 中身 KPIに向くか
1本の再生数 1本がどこまで届いたか 向かない(同じチームでも数倍ぶれる)
累計の再生数 同じ層に向けて出した投稿の合計。ざっくり「届いた人数×届いた回数」 向く(本数を重ねるほど安定する)
配信本数 「流れてくる機会」を何回つくれたか 向く(事前に計画できる)

見落とされやすいのが配信本数です。本数が積み上がらなければ、フリークエンシーも積み上がりません。インフルエンサーに依頼する方式では、候補探し・打診・承諾待ちに時間がかかり、本数が読みにくくなります。KPIには、事前に計画できて、ぶれにくい数字を置くべきです。

KPIの置き方の例(評価期間3か月の場合)

数字は仮の例です。自社の商品と予算に合わせて置き換えてください。

項目 置き方の例
評価期間 3か月(期間の終わりにまとめて判定)
配信本数 例:週1本×12週=12本(事前に確定)
累計の再生数の目標 本数×1本あたりの想定再生数
狙った層に届いているか 視聴者のうち、狙った性別・年齢の割合
反応の積み上がり 保存数・プロフィールへのアクセスの月ごとの推移
成果の確認 ブランド名の指名検索数を、施策の前後で比較

1本ごとの合否は付けません。上司への報告も、この表の項目で行います。

KPIは、当たり外れではなく計画で決まる数字に置きます。

本数を重ねるときは「場面」を変える

同じ動画を何度も流せばよいわけではありません。同じ見せ方の繰り返しは飽きられ、「またこの広告か」と逆に嫌われます。

たとえば同じ商品でも、「平日の朝の支度」「家族で過ごす週末」「季節の行事」と場面を変えれば、見る側には別の投稿として届きます。どの場面の反応が良かったかも分かるので、広告やLP、商品ページの訴求にも活かせます。

本数を重ねるときは、場面を変える
本数を重ねるときは、場面を変える

Instagramでの効果測定は、4つの数字を組み合わせる

正直にお伝えすると、Instagramでは1人が何回見たかを直接は測れません。複数のアカウントから配信したときの、フォロワーの重なりも分かりません。そこで私たちは、次の4つを組み合わせて判断しています。

見る数字 どこで見るか 何が分かるか
視聴者の性別・年齢 Instagramの「インサイト」画面 狙った層に届いているか
累計の再生数 投稿ごとの再生数の合計 同じ層に、どれだけ届けたか
配信本数 配信の計画と実績 「流れてくる機会」を何回つくれたか
保存数・プロフィールへのアクセス 投稿ごとのインサイト 興味が積み上がっているか

成果の側では、ブランド名の指名検索数を施策の前後で比べます。購入が目的の段階に入ったら、投稿ごとにパラメータ付きURL(UTM)や専用クーポンを分けて経路を追います。

インフルエンサー施策を評価する5つのチェック

施策を振り返るときは、次の5つを確認してください。評価の単位は、1本ではなく期間です。

  1. 1本ごとではなく、期間を決めて累計の再生数で評価しているか
  2. 配信本数を、施策の前に確保できているか
  3. その累計が、狙った層に届いているか
  4. 同じ動画の繰り返しではなく、場面を変えて重ねているか
  5. 1本の出来に、予算と時間を寄せすぎていないか

よくある質問

インフルエンサーPRは何本配信すれば効果が出ますか?

一律の本数は言えませんが、決め方はあります。評価する期間(例:1〜3か月)と、その間に出せる本数を先に決めます。累計の再生数の目標は「本数×1本あたりの想定再生数」で置けます。合否は1本ごとではなく、期間の終わりに累計で判定します。

インフルエンサーPRの効果測定では、何を見ればよいですか?

認知が目的なら、狙った層に届いているか、累計の再生数、配信本数、保存などの反応の積み上がりを見ます。購入が目的の段階に入ったら、クリックや購入数、獲得単価を加えます。

PR表記を付けると再生されにくくなりませんか?

PR表記そのものより、売り込みから始まる構成のほうが見られない原因になると考えています。当社のママリーチで配信するPR投稿には、すべてPR表記を付けたうえで、生活の場面から入る構成にしています。

フォロワー数の多いインフルエンサーに依頼すべきですか?

起用費用を出せる企業が、影響力で一気に認知を取りにいくなら有効です。これから認知を積み上げるブランドは、フォロワー数より「同じ層に何回届けられるか」で依頼先を選ぶほうが現実的です。依頼が断られる理由については「ギフティング依頼がインフルエンサーに断られる3つの理由と通し方」で解説しています。

まとめ|KPIは「計画できて、ぶれにくい数字」に置く

インフルエンサーマーケティングのKPIを1本の再生数に置くと、当たり外れに振り回され、施策そのものを止めてしまいかねません。

認知の段階では、累計の再生数と配信本数をKPIにする。場面を変えながら同じ層に届け続ける。何を数え、どの期間で判断するかを先に決める。そこから始めることが、インフルエンサー施策を任された担当者の仕事です。

私たちが提供している「ママリーチ」は、この考え方で設計したママ・主婦層向けのInstagram PRサービスです。

当社が運用するママ向けInstagramアカウントから、場面を変えたPRリールを配信します。インフルエンサーを探して承諾を待つ工程がないため、配信本数を事前に計画できます。すべての投稿にPR表記を付け、投稿ごとの反応は企画・台本と並べたレポートでお返しします。

「自社の商品なら、どの層に、どんな場面で重ねるか」を整理したい段階から、お気軽にご相談ください。

ママ・主婦層向けInstagram PR「ママリーチ」

本記事は、2026年9月22日にXで公開した記事「[PR投稿にバズはいらない。量産に帰結しました。](https://x.com/hokkai_ken/status/2102274688357691673)」の内容をもとに、解説記事として再構成したものです。

Contact

接触の波を設計するところから、売上・集客につなげるところまでご一緒します。