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ギフティング依頼がインフルエンサーに断られる3つの理由と通し方

戸田 健介公開日
ギフティング依頼がインフルエンサーに断られる3つの理由と通し方
INDEX目次
  1. ギフティングとタイアップの違い|今は「選ぶ立場」がインフルエンサー側にある
  2. インフルエンサーがギフティングを断る3つの理由
  3. 断られない依頼の鍵は「伸びたPRの前例」
  4. 無償で受けてもらうための5つのステップ|最初の1本はお金で作る
  5. ギフティングの依頼文の型|前例を入れた5つの要素
  6. ギフティング依頼で注意すること|PR表記と効きにくい相手
  7. よくある質問
  8. まとめ|断られる理由は「報酬」ではなく「損の見込み」

結論から言うと、インフルエンサーへのギフティング(商品提供のみでのPR依頼)を通すには、同じ商品で再生回数が伸びたPR投稿、つまり「伸びたPRの前例」を依頼文に添えることです。断られる一番の理由は報酬の少なさではなく、インフルエンサーから見て「受けると自分のPR実績が下がる」依頼に見えていることだからです。

この記事は、D2C・メーカーでインフルエンサー施策を任された方に向けて、断られる3つの理由と、最初の1本だけ費用をかけて2本目から商品提供のみで依頼する5つのステップ、依頼文の型をまとめたものです(私たちが主にご支援しているInstagramでの考え方です)。

「リストを作って一斉にDMを送ったが、既読のまま返事がない。」 「やっと受けてもらえたのに、PR投稿だけ再生回数が伸びなかった。」

インフルエンサーマーケティングのご相談で、よく伺う悩みです。返事が来ないと、依頼文の書き方や送る件数を見直したくなります。もちろん、それも必要です。ただ、その前に確かめたいことがあります。

インフルエンサーの側から見て、その依頼は「受けて得をする依頼」になっているでしょうか。

ギフティングとタイアップの違い|今は「選ぶ立場」がインフルエンサー側にある

インフルエンサーへのPR依頼は、大きく2つに分けられます。

依頼の形 中身 広告主から見ると インフルエンサーから見ると
ギフティング 商品提供のみで紹介を依頼する 費用を抑えられる 収益にならない
タイアップ 商品提供に加えて報酬を支払う 1本ごとの費用がかかる 主な収益源になる

広告主は費用を抑えるために、できればギフティングで受けてほしいと考えます。一方、タイアップを主な収益源にしているインフルエンサーは、商品提供のみの依頼を受けたがりません。

さらに今は、PRの依頼が人気のインフルエンサーに集中しています。依頼を選ぶ立場にあるのはインフルエンサー側です。

私たちは、インフルエンサー施策のご支援と、自社アカウントでPR案件を受ける側の両方を続けてきました(自社アカウントの運用は5年になります)。その中で、この数年でインフルエンサーの立場はかなり強くなったと感じています。

この状況で「できるだけ安く」と「できるだけ多く」の金額交渉をすれば、広告主が不利になるのは自然なことです。

金額の交渉で勝とうとするほど、ギフティングは通らなくなります。

インフルエンサーがギフティングを断る3つの理由

では、インフルエンサーは何を見て依頼を断っているのでしょうか。私たちがご支援の現場で見てきた理由は、大きく3つに分けられます。

理由1:見ているのは報酬の額より「PR投稿の再生回数」だから

インフルエンサーの収益になるのはPR投稿で、その値段は再生回数やインプレッションで決まることが多くなっています。

広告主の見方も変わりました。かつては依頼の金額をフォロワー数で決めることが多くありましたが、今は実際に見られた再生回数が重視されます。最近は、通常投稿ではなく「PR投稿の再生回数」を見る広告主も増えていると感じています。

たとえば、次のようなアカウントがあるとします。

見る数字 平均再生回数
通常投稿 10万回
PR投稿 3万回
広告主が費用対効果の試算に使う値 3万回

広告主は、このアカウントを「3万再生のインフルエンサー」として見ます。つまりインフルエンサーにとって、PR投稿の平均再生回数は、次の依頼の単価を決める成績表です。

理由2:無償の依頼が、PR実績を下げる依頼に見えているから

この成績表の仕組みで考えると、商品提供のみの依頼がどう見えているかが分かります。

たとえば、PR投稿5本の平均が3万回のアカウントが、1万回しか伸びないPRを1本出したとします。6本の平均は約2.7万回に下がり、次のタイアップはこの2.7万回で見積もられます。報酬ゼロの依頼を受けた結果、次の案件の単価まで下がるわけです。

自社でSNSを運用していても感じますが、発信者は得よりも損に敏感です。少し報酬が増える喜びより、成績表の数字が下がる痛みのほうを重く見ます。

加えて、フォロワーの信頼も気にしています。フォロワーに合わない商品を紹介すれば反応が落ち、普段の投稿の伸びにまで響きかねません。

値下げの交渉より先に、損の見込みを消す必要があります。

理由3:受ける前に「伸びるかどうか」を判断する材料がないから

広告主は、自社商品の良さも、買ってくれている人の顔も知っています。一方でインフルエンサーは、届いた商品を手に取って初めて中身を知ります。「この商品は自分のフォロワーに刺さるのか」を、受ける前に判断する材料がほとんどありません。

依頼文でどれだけ商品の魅力を伝えても、それは広告主側の主張です。判断の材料が足りない状態では、損を避ける側に倒れるのが合理的な判断です。

3つの理由に共通するのは、インフルエンサーが「このPRを受けて、再生回数が取れるのか」を見通せていないことです。

断られない依頼の鍵は「伸びたPRの前例」

損の見込みを消す材料になるのが、他のアカウントで実際に伸びたPR投稿です。この記事では、これを「伸びたPRの前例」と呼びます。

前例は広告主の主張ではなく、数字として出た結果です。依頼文に前例を添えると、インフルエンサーが受ける前に知りたいことに、次のように答えられます。

前例で見せる情報 インフルエンサーが判断できること
同じ商品のPR投稿の再生回数 受けても、自分のPR平均を下げずに済みそうか
前例のアカウントの規模・フォロワー層 その結果が、自分のアカウントにも当てはまりそうか
冒頭のひと言・見せ方・使った場面 企画を一から考える手間が減るか

2行目が特に効きます。人は、自分と似た立場の人の結果ほど「自分にもできそうだ」と受け止めます。100万フォロワーの前例より、自分と同じくらいの規模で伸びた前例のほうが、判断を後押しします。

たとえば、商品Aを紹介すれば10万〜20万回の再生が狙えると分かっているとします。その案件単体では収益にならなくても、今後の単価交渉に使える実績のために、商品提供のみで受けてくれる人が出てきます。

私たちの見てきた範囲でも、報酬なしで紹介が集まっている商品は世の中に少なくありません。多くは大手の商品ですが、仕組みとしては中小のブランドでも同じです。

報酬が動機を作るのではありません。前例が動機を作ります。

前例を作りやすい商品の2つの条件と、その確かめ方

条件 確かめ方
SNSと相性が良い(変化を動画で見せられる・見た目が良い・目新しさがある) 変化・見た目・目新しさのうち、どれを15秒の動画で見せられるかを書き出す
すでに他のインフルエンサーが紹介し、高い再生回数を取っている Instagramで商品名を検索し、PR表記つきの投稿の再生回数を見る

1つ目は商材の性質に左右され、後から変えにくい場合もあります。2つ目は、ヒットした投稿が1本あれば満たせます。

無償で受けてもらうための5つのステップ|最初の1本はお金で作る

無償で紹介してもらえる状態を作りたいなら、最初から無償の依頼を狙わないことです。最初の1本は、2本目以降を商品提供のみで回すための「前例づくり」と位置づけて、費用をかけます。

ステップ1:最初の1本は費用をかけて、複数本で作る

再生回数が取れそうなインフルエンサーにタイアップで依頼するか、自社で配信できる媒体を使って、最初のPR投稿を作ります。

伸びるかどうかは運の要素が強いので、1人の発信者に賭けるのはおすすめしません。訴求や見せ方を変えた複数本を出し、反応を比べてください。

ステップ2:伸びた投稿と、伸びた理由を整理する

前例として使えるのは、「この見せ方なら伸びる」と説明できる投稿です。再生回数に加えて、冒頭のひと言、見せ方、使った場面を書き出しておきます。

ステップ3:前例のアカウントに近い規模・層のインフルエンサーを選ぶ

依頼先は、前例と規模やフォロワー層が近い中堅クラスやマイクロインフルエンサー(フォロワーが比較的少なく、特定の層に深く届く発信者)が中心になります。

ステップ4:前例を添えて、商品提供のみで依頼する

依頼文の3番目に、前例のURL・再生回数・伸びた理由を入れます(下の「ギフティングの依頼文の型」を参照してください)。

ステップ5:反応を記録し、次の前例にする

商品提供のみで受けてもらった投稿も、再生回数・保存数・そのアカウントのPR投稿の平均との差の3つを記録します。平均を上回った投稿は、次の依頼の前例になります。

ギフティング依頼を回す循環:費用をかけた1本が前例になり、前例が商品提供のみの依頼を通す
ギフティング依頼を回す循環:費用をかけた1本が前例になり、前例が商品提供のみの依頼を通す

この循環を1周させることが、ステップ1〜5の目的です。

ギフティングの依頼文の型|前例を入れた5つの要素

  1. 名乗りと、連絡した理由(1行。「◯◯さんの投稿が、この商品を使う層に届いていると感じたため」など)
  2. 商品の概要(1行)
  3. 前例:「同じ商品のPR投稿で◯万回再生された投稿です(URL)。冒頭で◯◯を見せた投稿が特に伸びました」
  4. お願いする内容:商品提供のみであること、投稿の冒頭など目立つ位置にPR表記をお願いすること、投稿期限の有無
  5. 返信の期限と連絡先

文例にすると、次のようになります。

はじめまして、◯◯(ブランド名)の△△です。◯◯さんの時短料理の投稿が、私たちの商品を使う共働きのご家庭に届いていると感じ、ご連絡しました。

商品は◯◯です。同じ商品のPR投稿で◯万回再生された投稿があります(URL)。冒頭で◯◯を見せた回が特に伸びました。

今回は商品提供のみのご依頼です。投稿には、冒頭など分かりやすい位置に「PR」または「◯◯社から商品提供」の表記をお願いします。◯月◯日までにご返信いただけると助かります。

依頼文の丁寧さより、3の前例があるかどうかが返信の有無を左右します。

ギフティング依頼で注意すること|PR表記と効きにくい相手

  • トップクラスのインフルエンサーには効きにくい: 誰もが知るタレントや、フォロワー10万人以上のクラスには、この方法だけでは届かず、一定の費用が必要です。一方、中堅クラスやマイクロインフルエンサーであれば、十分に回る余地があります。私たちも、この層を中心にご支援してきた事例があります
  • PR表記は必須: 商品提供のみの依頼でも、投稿には「PR」「〇〇社から商品提供」などの表記が必要です。景品表示法で責任を負うのは依頼した広告主側なので、表記は冒頭など目立つ位置に入れてもらい、投稿後に確認してください(参考: 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」)
  • 投稿内容の指示は最小限に: 伸びた前例の型を共有するのはよいですが、細かい台本の押しつけは、インフルエンサーの持ち味を消します
  • 他のSNSでは前提が変わる: TikTokやYouTubeは、おすすめの仕組みや単価の決まり方が異なるため、そのまま当てはまらない場合があります

「無償で受けてくれる人は、拡散力がない人ばかりでは」という疑問もあると思います。ただ、私たちは有名人1人に紹介してもらうことがすべてだとは考えていません。

1本のバズより、10本、100本と配信を重ねるほうが、事業へのインパクトは大きいからです(詳しくはインフルエンサーマーケティングのKPIの決め方をご覧ください)。前例を見て動いてくれる中堅の発信者を、10人、20人と増やしていくことが、この方法の狙いです。

よくある質問

ギフティングの依頼に返信が来ないのはなぜですか?

多くの場合、インフルエンサーから見て「受けても再生回数が取れるか分からない」「PR投稿の平均が下がるかもしれない」依頼に見えているからです。依頼文を丁寧にするより、同じ商品で伸びたPR投稿(前例)を見せるほうが効果的です。

ギフティングとタイアップは、どちらから始めるべきですか?

前例がない段階ならタイアップ(または自社で配信できる媒体)から始め、前例ができたらギフティングに切り替えるのがおすすめです。

最初の1本にはいくらかければよいですか?

商材や依頼先によって変わるため、一律には言えません。目安は「この投稿を見せれば、他のインフルエンサーが自分の再生回数を想像できる」水準まで作ることです。

社内で説明するときは、「前例づくりにかけた費用÷その後に商品提供のみで受けてもらえた本数」を1本あたりの実質費用として示すと、毎回タイアップで依頼する場合と比べやすくなります。

フォロワーが多いインフルエンサーにもギフティングで依頼できますか?

フォロワー10万人以上のクラスや有名人には、前例があっても商品提供のみでは受けてもらいにくく、費用が必要になることが多いです。無償の依頼は、前例と規模や層が近い中堅クラス・マイクロインフルエンサーを中心に組み立てるのが現実的です。

まとめ|断られる理由は「報酬」ではなく「損の見込み」

ギフティングが断られるのは、報酬が足りないからではありません。インフルエンサーから見て、受けると損をする依頼に見えているからです。

前例のない無償の依頼は損に見え、前例のある無償の依頼は実績づくりの機会に見えます。金額の交渉で最初から勝とうとするのではなく、インフルエンサーが自分から手を挙げたくなる1本を先に作る。どこにお金を使い、どこから無償で回すかを決める。そこから始めることが、インフルエンサーマーケティングを任された担当者の仕事です。

最初の1本を作る方法としては、再生回数が取れそうなインフルエンサーにPR費用を払って依頼するのが王道です。その1本単体で費用を回収するのではなく、2本目以降につながる投資として見てください。

私たちは、その最初の一歩のハードルを下げるサービスとして「ママリーチ」を提供しています。自社で運用する複数のママ向けInstagramアカウント(フォロワー数は合計で延べ150万・2026年9月時点)からPRを配信するサービスです。

複数本の反応を比べられるので、反応の良かった投稿を、そのままギフティング依頼の前例として使えます(再生回数は投稿ごとに異なり、成果を保証するものではありません)。

「まず前例になる1本を作りたい」という段階から、お気軽にご相談ください。

ママ・主婦層向けInstagram PR「ママリーチ」

本記事は、Xで公開した記事「PR依頼、何回断られてますか?」の内容をもとに、解説記事として再構成したものです。

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